地方経済 2016 11 20

書名 地域通貨で実現する地方創生
著者 納村 哲二  幻冬舎

「なぜ、地域通貨の話が出てきたのか」
 大都市に対して地方の問題となると、
よく言われるのが、人口の過疎化の問題でしょう。
つまり、人口が大都市へ流出しているという問題です。
 しかし、それ以上に問題になるのが、
地方から資金の流出だと思われます。
 人口の流出については、どのくらいの規模かは、
統計資料がありますので把握できるでしょうが、
お金の流出、つまり資金の流出については統計がありません。
しかし、かなりの規模で流出していると思われます。
 これでは、中央政府が地方経済を支えるために、
巨額の交付金や補助金を支出しても、効果がありません。
お金が大都市へ還流してしまっているのでは「元の木阿弥」です。
 そこで、地域通貨の話が出てきたのです。
地域通貨によって地方経済を活性化させるとともに、
お金の流出を防ぐ意味もあるのだと思います。

「トリクルダウンはなくなった」
 私が少年の頃は、東京に本社がある大企業の工場が、
「工業団地」に次々と建設され、
それが雇用を生み出して、結果的に「富の分配」がありました。
 しかし、経済に国境がなくなった現在においては、
大企業の工場は、人件費の安い海外に建設されています。
 遅れて整備された「工業団地」には、
入居してくる「大企業の工場」はなく、
巨大なショッピングモールになった、
あるいは、巨大な流通倉庫が建設されたという話を聞きます。
 ショッピングモールの店員の収入は低く、
かつての工場労働者の賃金と比較にならないものとなっています。
 また、巨大な流通倉庫は、機械化され、コンピューター化されて、
ほとんど無人化されています。
 実は、私は大学生の夏休みに、工業団地の工場で、工員のアルバイトをしたことがあります。
大学生にしては、予想外の収入になり、うれしかったことを覚えています。
 しかし、私は、東京の大学に入学していましたので、
この臨時収入は、東京で使ってしまいました。
これも、お金の流出、つまり資金の流出だったかもしれません。
 もちろん、「地域通貨」が万能薬でないことは承知していますが、
これが、地方経済の振興につながることを祈ります。






























































































































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